水害復旧

床下・床上浸水後に必要な作業とは?排水・洗浄・乾燥・消毒を解説

水害復旧・浸水後の衛生対策
浸水後の日本家屋で床下の状態を確認する水害復旧作業員
作業イメージ

台風や集中豪雨で住宅が浸水したとき、水が引いたあとに何をすればよいのか、どこまで作業が必要なのか、判断に迷う方は少なくありません。

床下や室内に入った水が見えなくなると、「もう乾かせば大丈夫ではないか」と思われるかもしれません。しかし、浸水した水には、泥や砂だけでなく、下水や汚水が混ざっている場合があります。

そのため、水害復旧では、単に水を抜いたり薬剤をまいたりするのではなく、現場の状態に合わせて、排水、汚泥の除去、洗浄、乾燥を順番に進めることが重要です。床上まで浸水した場合には、生活空間や家財の消毒が必要になることもあります。

この記事では、床下浸水と床上浸水の違い、水害復旧で行う主な作業、そして見積書に記載される各項目の意味を分かりやすくご説明します。

このページで分かること

  • 床下浸水と床上浸水で、対応範囲がどう変わるのか
  • 排水・汚泥除去・洗浄・乾燥・消毒が必要な理由
  • 床下の消毒が原則不要とされる場合と、個別判断が必要な場合
  • 防蟻処理と消毒の目的の違い
  • 水害復旧にかかる費用の目安と、見積書の確認ポイント
  • ご自身で清掃するときに注意すること

まず知っていただきたいこと

厚生労働省や千葉県は、浸水した家屋の感染症対策として、まず汚泥や汚れを取り除き、十分に清掃・乾燥させることが重要だと案内しています。汚れが残ったまま薬剤を使用しても、十分な効果を期待できないためです。

消毒より先に、清掃と乾燥が必要です 排水や汚泥除去を省いて薬剤だけを散布しても、水害復旧にはなりません。まず、汚れと水分をできる限り取り除くことが基本です。

また、公的な案内では、一般的な床下浸水について「床下や庭の消毒は原則不要」とされています。したがって、床下に水が入ったという理由だけで、すべての住宅に同じ消毒作業が必要になるわけではありません。

一方で、下水や汚水の流入が確認されている場合、汚泥の量が多い場合、車庫や収納部など人や物が触れる範囲まで汚染が広がっている場合などは、通常の雨水による床下浸水と同じ条件ではありません。

プロアシスト東日本では、浸水した水の性質、汚染範囲、建物の構造、臭気、乾燥状態などを確認し、清掃・洗浄を基本としたうえで、必要性が認められる範囲に衛生処理をご提案します。消毒ありきで判断するのではなく、現場ごとに必要な作業を組み立てます。

床下浸水と床上浸水では、対応する範囲が異なります

床下浸水と床上浸水の範囲および必要な対応を比較した住宅断面図
床下にとどまる浸水と、生活空間まで達する床上浸水では、確認・処置する範囲が異なります。

床下浸水の場合

床下に水や泥が入り込んだ状態です。室内から見えにくいため、排水後も汚泥や水分が残っていることがあります。

  1. 床下に残った水を排出する
  2. 泥、砂、流入物を取り除く
  3. 水道水などを使って洗浄する
  4. 残った水分を取り除き、送風して乾燥させる
  5. 汚水の混入や汚染状況に応じて、必要な衛生処理を検討する
  6. 建物の状態やご希望に応じて、防蟻処理を検討する

特に重要なのは、目に見えない場所に汚泥や水分を残さないことです。点検口の位置や床下の高さ、配管・基礎の形状によって作業方法が変わるため、事前の確認が欠かせません。

床上浸水の場合

床上浸水では、床、壁、畳、家具、収納、家電など、日常生活で触れる範囲まで水が達します。

濡れた家財や内装材をすべて残せるとは限りません。水を吸い込んだ畳、カーペット、断熱材、石こうボードなどは、汚染の程度や乾燥の可否を確認し、撤去・交換を検討します。

泥や汚れを除去して洗浄し、十分に乾燥させたあと、床や壁、家具など必要な範囲を適切な方法で消毒します。食器や調理器具、食品に関係する場所は、建物部分とは分けて取り扱う必要があります。

水害復旧で行う主な作業と、見積書の見方

排水、汚泥除去と洗浄、乾燥、必要に応じた衛生処理、防蟻処理の5工程
現場の状態により、作業内容・順序・必要日数は変わります。

1.排水処理

床下や建物内に残った水をポンプなどで排出します。水が残っていると、その後の汚泥除去や洗浄、乾燥へ進めません。水量、床下への入り方、排水経路、作業スペースによって、使用する機材や作業時間が変わります。

2.汚泥除去・清掃・洗浄

排水後に残った泥、砂、ごみなどを取り除き、汚れが付着した部分を洗浄します。水害復旧の中心となる工程です。薬剤を使用する場合でも、先に汚れを十分に取り除かなければなりません。

床下に残った水と汚泥を吸引除去する水害復旧作業員
床下での汚泥除去・吸引作業イメージ

3.乾燥作業

洗浄後に残った水分を除去し、送風機などを使って乾燥を進めます。表面が乾いて見えても、木材の接合部、基礎のくぼみ、断熱材の周辺などに水分が残ることがあります。そのため、短時間の換気だけで終わらせず、建物の状態を見ながら一定期間乾燥させます。

乾燥日数は一律ではありません。浸水量、天候、湿度、床下の通気性、建材の種類などによって変わります。

4.状況に応じた消毒・衛生処理

床上の生活空間が浸水した場合は、清掃と乾燥を行ったうえで、必要な範囲を消毒します。

床下については、公的な案内では消毒は原則不要とされています。ただし、下水や汚水の混入、強い汚染、隣接する車庫・収納部への広がりなどが確認された現場では、清掃・洗浄・乾燥だけでなく、追加の衛生処理を個別に検討します。

プロアシスト東日本では、必要と判断した範囲に、見積書に記載した薬剤を専用噴霧器で施工します。使用する薬剤、施工範囲、注意事項は、現場と製品の使用条件に合わせて決定します。

消毒は、排水や汚泥除去の代わりになる作業ではありません。
まず汚れを取り除き、十分に清掃・乾燥させることが前提です。

5.防蟻処理

防蟻処理は、衛生上の消毒とは目的が異なります。水害復旧のために床下へ入る機会に、建物の状態を確認し、ご希望や必要性に応じてシロアリ対策を行います。防蟻処理を行う範囲や方法は、浸水範囲と必ずしも同じではないため、見積書では別項目として記載します。

なお、防蟻処理を行えば、浸水した木材や建物の損傷そのものが直るわけではありません。腐食や建材の変形などが確認された場合は、必要に応じて建築・修繕の専門業者による確認が必要です。

なぜ、現地確認をしないと正確な費用を出せないのか

水害復旧の費用は、浸水面積だけでは決まりません。

  • 床上か床下か
  • 雨水だけか、下水・汚水を含むか
  • 床下に残っている水や汚泥の量
  • 点検口の有無と床下の高さ
  • 断熱材などが水を吸っているか
  • 車庫、収納、壁内などへ汚染が広がっているか
  • 撤去が必要な家財や建材があるか
  • 乾燥に必要な日数
  • 消毒や防蟻処理を行う範囲

こうした条件によって、必要な人数、機材、作業日数、処理面積が変わります。見積書をご覧になる際は、合計金額だけでなく、「どの範囲に」「何のための作業を」「どこまで行うのか」を確認することが大切です。

水害復旧にかかる費用の目安

プロアシスト東日本へご依頼いただく場合の一般的な目安です。

作業内容費用の目安(税込)
排水処理88,000円~165,000円/一式
汚泥除去・清掃・洗浄(床材が残っている場合)5,500円~7,700円/㎡
汚泥除去・清掃・洗浄(床材を撤去している場合)4,400円~5,500円/㎡
消毒・衛生処理4,400円/㎡を目安
乾燥作業33,000円~110,000円/日
防蟻処理2,750円/㎡を目安
床下へ入るための点検口・開口部の造作16,500円~/1か所
濡れた畳の撤去・回収4,400円~/1畳
床下断熱材の撤去・処分4,400円~/㎡
カビ除去・防カビ処理2,200円~5,500円/㎡

上記はあくまで目安であり、実際の費用は現地の状態によって変わります。また、すべての作業を必ず行うわけではありません。

乾燥作業は、1日で終わるとは限りません。浸水量や床下の通気性、木材の含水状態などを確認し、必要な日数を見積もります。そのため、乾燥費用は「1日当たりの金額」と「予定日数」の両方をご確認ください。

ご自身で清掃するときの注意点

浸水した家屋を清掃する際は、泥の中の破片やくぎによるけが、粉じんやカビの吸い込み、汚水への接触に注意が必要です。

  • ドアや窓を開けて換気する
  • 厚手の手袋と底の厚い靴を着用する
  • マスク、可能であればゴーグルを使用する
  • 傷口を汚水に触れさせない
  • 作業後は十分に手を洗う
  • 深い傷や汚れた傷、洗眼後も続く充血などがある場合は医療機関へ相談する

家庭用薬剤を自己判断で混ぜることは危険です。製品の表示や使用上の注意を必ず守り、必要以上の量を使用しないでください。

必要な作業を、一つずつご説明します

床下の状態をご自身で確認できない場合や、見積書の内容について分からない点がある場合も、担当者へ遠慮なくご相談ください。

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運営会社:株式会社RISE

参考資料