「片付けるのがめんどくさい」「自分はズボラだから部屋が散らかっている」というだけで、セルフネグレクトと判断することはできません。違いを考えるときに重要なのは、やる気があるか、趣味を楽しめているか、何日入浴していないかといった一つの基準ではなく、食事・衛生・必要な受診・住まいの安全など、生活を維持することに支障が出ているかを見ることです。
この記事は診断のためのものではありません。「セルフネグレクトなのか、単に面倒なだけなのか」と二分することより、今どの生活機能が保てなくなっているのかを確認し、必要なら病名や原因が確定する前でも相談につなげることが大切です。
この記事でわかること
- セルフネグレクトと「めんどくさい・ズボラ」を単純に分けられない理由
- 片付け以外に確認したい食事・衛生・受診・生活安全の具体的な着眼点
- 自分の状態が心配なときに今日から確認すること
- 家族が責めずに状況を確認するときの声のかけ方
- 高齢者、健康上の問題、住まい・生活の困りごとで相談先をどう選ぶか
- 家財整理・搬出・清掃を業者へ相談したほうがよい場面と依頼前の確認事項
「めんどくさいだけ」とセルフネグレクトの違いは生活への支障を見る
部屋が散らかっていても、食事や健康管理、安全な生活が保たれている人もいます。反対に、部屋の見た目が極端に荒れていなくても、食事が取れない、必要な受診ができない、衛生状態を保てないなどの問題が重なっていることもあります。
大阪市住之江区の地域福祉計画では、セルフネグレクトについて、自分で飲食や体調管理、最低限の衛生状態の保持、金銭管理などをしない、またはできないことで、安全や健康が脅かされる状態として説明されています。詳しくは大阪市住之江区の地域福祉計画を確認できます。
そのため、次の表は「診断表」ではなく、生活のどこに支障が出ているかを整理するための見方として使ってください。
| 見るところ | 「面倒で後回し」の範囲で起こること | 早めに相談を考えたい状態 |
|---|---|---|
| 片付け | 洗濯物や物がたまる、掃除を先延ばしにする | 寝る場所・玄関・通路・トイレなど生活に必要な場所まで使いにくくなっている |
| 食事・水分 | 料理が面倒で簡単な食事が増える | 食事や水分を十分に取れていない状態が続く、食べ物を用意すること自体が難しい |
| 衛生 | 掃除や洗濯を数日後回しにすることがある | 衣類・寝具・トイレ・室内環境などを最低限清潔に保つことが難しく、健康や生活に影響している |
| 健康・受診 | 予約や受診を先延ばしにすることがある | 体調が悪くても必要な受診ができない、服薬や治療が途切れている |
| 住まいの安全 | 物が増えて使いにくい場所がある | 玄関や避難経路が塞がる、転倒・火災・腐敗物・害虫など安全上の問題が出ている |
| 金銭・手続き | 請求書や手続きを後回しにすることがある | 生活に必要な支払い・契約・手続きを管理できず、電気・ガス・水道や住まいの維持に影響している |
一つ当てはまったらセルフネグレクト、何個ならセルフネグレクト、という判断はできません。大切なのは、複数の生活上の困難が重なっているか、それによって本人の健康や安全が脅かされていないかです。
「ズボラな性格だから」と決めつけない
「ズボラ」は日常会話で使われる性格や行動への表現で、セルフネグレクトを判断する医学的な基準ではありません。
たとえば、掃除は苦手でも食事を取り、必要な受診をし、玄関や寝床、トイレを安全に使えている人もいます。一方で、以前は生活できていた人が、体調や生活環境の変化などをきっかけに食事・衛生・受診・家の管理を行うことが難しくなる場合もあります。
そのため、「昔から片付けが苦手だから」「もともとズボラだから」で終わらせず、以前と比べて生活の維持が難しくなっていないかを確認するほうが実用的です。
「やる気がある」「趣味はできる」だけでも判断できない
好きな動画を見る、ゲームをする、趣味を続けるなど、一部の活動ができていることだけで生活全体に問題がないとは判断できません。逆に、片付けへの意欲がないからといって、それだけでセルフネグレクトともいえません。
本人の気持ちを推測するより、「食事は取れているか」「体調が悪いときに受診できているか」「安全に寝られる場所があるか」など、実際の生活状況を確認します。
入浴していない日数だけでも決められない
「何日入浴していないからセルフネグレクト」という一律の線引きはできません。入浴だけでなく、衣類や寝具、トイレ、食事、健康、安全などを含め、最低限の日常生活を保つことが難しくなっているかを見る必要があります。
自分の状態が心配なら、今日確認するのはこの5つです
セルフネグレクトかどうかを自分で確定しようとするより、まず今日の生活に危険や困難がないかを確認してください。
- 今日、食事と水分を取れているか
- 体調が悪いのに受診や必要な服薬を止めていないか
- 寝床・トイレ・玄関を安全に使えるか
- 腐敗物、害虫、火気、転倒など差し迫った危険がないか
- 一人では対応できない問題を抱え込んでいないか
全部を一度に片付ける必要はありません。まず水分を取る、食事を用意する、玄関までの通路を確認する、受診先へ連絡するなど、健康と安全に直結することを優先します。
危険がある場合は片付け業者より緊急対応を優先する
意識状態がおかしい、重い体調不良がある、火災など生命に関わる危険がある場合は、片付けを始めたり業者を探したりすることより、消防・救急など必要な緊急対応を優先してください。
また、電気・ガス・水道が止まり生活が維持できない、健康状態が悪化しているなど、緊急通報までは必要なくても生活上の問題が重なっている場合は、行政や医療・福祉の相談窓口につなげることを検討します。
片付けそのものが一人では難しくなっている場合
健康や生活支援については行政・医療・福祉の窓口が担当します。一方で、物量が多く一人では家財を動かせない、寝床や通路を確保するために大量の家財整理が必要、室内全体の整理・搬出・清掃が必要という場合は、片付け作業を外部へ依頼する方法があります。
プロアシスト東日本では、診断や生活支援ではなく、家財の仕分け・搬出・片付け後の清掃として対応範囲を確認します。部屋全体や大量の家財整理についてはゴミ屋敷・大量家財の片付けサービスをご確認ください。
「全部を片付けるのか」「まず通路や寝床だけ確保するのか」など、希望する範囲を整理したうえで、見積もりまたはお問い合わせからご相談いただけます。
本人が相談するときは病名の確定を待たなくてよい
「セルフネグレクトなのか分からないから相談できない」と考える必要はありません。相談時には病名を決めるのではなく、「食事が取れない」「部屋から出にくい」「請求書や手続きができない」「体調が悪いのに受診できていない」など、今困っている事実を伝えます。
住まいや生活全般について困っている場合は、厚生労働省の住まい・生活の困りごと相談「すまこま。」から、地域の相談窓口を探すことができます。
健康上の不調がある場合は、かかりつけ医や医療機関などへ相談してください。こころの不調や強いつらさがある場合は、政府広報のメンタルヘルスに関する相談窓口から相談先を確認する方法もあります。
家族は「片付けなさい」より生活の困りごとから聞く
家族の部屋が荒れていると、早く片付けてもらいたい気持ちから「どうして片付けないの」「捨てれば済む」と言いたくなることがあります。しかし、本人が生活そのものに困難を抱えている場合、片付けだけを求めても話が進まないことがあります。
まずは物の多さを責めるのではなく、生活上の困りごとを具体的に聞きます。
- 「最近ちゃんと食べられてる?」
- 「体調が悪いところはない?」
- 「病院に行きたいけど行けていないことはある?」
- 「家の中で歩きにくい場所はない?」
- 「今いちばん困っていることは何?」
- 「全部じゃなくて、困っているところだけ一緒に考えようか」
「あなたはセルフネグレクトだ」「だらしない」「普通はできる」と決めつけるより、本人が困っていることを一つずつ確認するほうが、必要な支援を整理しやすくなります。
家族だけで物を捨てることを前提にしない
家族から見ると不要に思える物でも、本人にとって必要な物や大切な物である場合があります。緊急の危険がないのであれば、本人の意思を確認せず一方的に家財を整理することは避け、残す物・触れない場所・探す物を確認して進めます。
本人が支援を拒み、健康や安全への影響が心配な場合は、家族だけで抱え込まず、本人が住んでいる地域の行政・福祉窓口へ状況を伝えて相談してください。
どこへ相談するかは困っている内容で分ける
| 困っていること | 相談先の例 |
|---|---|
| 高齢の本人の生活・介護・見守りが心配 | 本人の住所地を担当する地域包括支援センター |
| 体調不良、治療や服薬について心配 | かかりつけ医、医療機関など |
| 住まい、生活費、仕事など生活全体に困っている | 自治体の相談窓口、自立相談支援機関など |
| 住まい・生活の相談先が分からない | 住まい・生活の困りごと相談「すまこま。」 |
| こころの不調や強いつらさがある | 医療機関、自治体等の相談窓口 |
| 大量の家財で通路・寝床などを確保できない | 行政・福祉等への相談と必要に応じて片付け業者を併用 |
相談するために「セルフネグレクトである」と自分や家族が確定する必要はありません。「食事が取れない」「部屋の中を安全に歩けない」など、現在起きていることをそのまま伝えてください。
行政・医療・福祉と片付け業者ではできることが違う
生活上の困難が重なっている場合、片付けだけで全てを解決しようとしないことが重要です。
行政・医療・福祉の窓口では、それぞれの制度や専門領域に応じて生活、健康、介護などの相談を行います。一方、片付け業者が担当できるのは、契約した範囲の家財整理・搬出・清掃などです。
プロアシスト東日本では医療的な診断、治療、介護、生活支援の判断は行いません。必要な場合は公的・専門的な窓口と役割を分けながら、住環境の整理が必要な部分について対応範囲を確認します。
片付けを依頼するときに先に決めておくこと
生活上の問題と片付けが重なっている場合は、「部屋を全部きれいにする」という大きな目標だけでなく、今回どこまで作業するかを決めておくと相談しやすくなります。
- 残す家財:家具、衣類、思い出の品など残す物
- 探す物:通帳、印鑑、鍵、契約書、薬、写真など
- 触れない場所:本人が整理されたくない収納や部屋
- 優先する場所:玄関、通路、寝床、トイレなど
- 作業範囲:一部の家財整理か、部屋全体か、一軒全体か
- 清掃範囲:家財搬出までか、片付け後の清掃まで必要か
- 立ち会い:本人・家族がどこまで確認できるか
- 搬出条件:階段、駐車場所、搬出経路など
自分で少しずつ始められる状態であれば、部屋が散らかってつらいときの片付け初動も参考にしてください。一度に部屋全体を片付けるのではなく、安全に使う場所から考える方法を紹介しています。
よくある質問
セルフネグレクトと、ただ片付けがめんどくさい人の決定的な違いは何ですか?
一つの行動だけで決定的に分けることはできません。片付けへの意欲ではなく、食事、衛生、受診、金銭や住まいの管理、安全など、生活を維持する複数の面に支障が出ているかを確認することが重要です。
部屋がゴミ屋敷のようになっていたらセルフネグレクトですか?
部屋の状態だけでは判断できません。大量の物があることとセルフネグレクトは同じ意味ではありません。住環境だけでなく、食事・健康・衛生・安全など本人の生活全体を見る必要があります。
部屋は散らかっていますが、仕事や趣味はできています。問題ありませんか?
仕事や趣味ができていることだけでは判断できません。一方で、部屋が散らかっているだけでセルフネグレクトと考える必要もありません。食事、受診、衛生、安全など日常生活に具体的な支障が出ていないかを確認してください。
何日お風呂に入らなかったらセルフネグレクトですか?
入浴していない日数だけで線引きすることはできません。入浴以外の衛生状態、食事、健康管理、住まいの安全などを含め、生活を維持することが難しくなっているかを見ます。
本人に「セルフネグレクトではないか」と直接言ったほうがよいですか?
必ずしも名称を本人に当てはめる必要はありません。「最近食事は取れている?」「病院に行けている?」「家の中で困っている場所はある?」など、実際に困っていることから確認する方法があります。
本人が片付けを拒否しています。家族だけで依頼できますか?
本人の所有物や住居の権利、契約関係、緊急性などによって状況が異なります。緊急の危険がなければ、本人の意思を無視して作業を進めることを前提にせず、必要に応じて自治体や専門職へ相談してください。
セルフネグレクトか分からなくても行政や医療へ相談してよいですか?
はい。病名や状態を自分で確定してから相談する必要はありません。「食事が取れていない」「体調が悪いのに受診できない」「家の中を安全に歩けない」など、今起きている困りごとを伝えて相談先を確認してください。
片付け業者に依頼すればセルフネグレクトの問題は解決しますか?
家財整理や清掃によって住環境を整えることはできますが、健康、介護、経済、孤立などの問題は片付け業者の業務とは別です。必要に応じて行政・医療・福祉の支援と住環境の片付けを分けて考えます。
生活の安全を確認したうえで、必要な片付け範囲をご相談ください
「セルフネグレクトかどうか」を決めることより、まず本人の健康と生活の安全を確認することが優先です。食事や受診、生命・火災などに差し迫った問題がある場合は、片付け業者ではなく必要な緊急対応や行政・医療・福祉への相談を優先してください。
そのうえで、大量の家財によって通路や寝床を確保できない、家族だけでは家具や荷物を整理・搬出できない、部屋全体の整理と清掃が必要といった場合は、プロアシスト東日本で家財整理・搬出・清掃として対応できる範囲を確認します。
見積もりまたはお問い合わせから、家財量、残す物・探す物、触れない場所、希望する作業範囲、搬出経路などをお知らせください。

記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井







