デジタル終活で最初に作るのは、パスワード一覧ではありません。利用している端末・サービスと、残したいデータ、死亡後の希望を整理した「サービス台帳」です。認証情報を一冊へ集めると、紛失や盗み見のリスクが高まります。
サービス名、利用目的、支払方法の種類、データの希望、公式の継承設定を記録し、パスワードは別の安全な方法で管理します。半年から1年ごと、または端末・住所・契約が変わったときに更新すれば、家族が古い情報を追う負担を減らせます。
この記事を読んでわかること
- デジタル終活で最初に作るサービス台帳
- 残す・閉じる・要確認の分け方
- パスワードを台帳へ集約しない理由
- 公式の継承設定と家族への伝え方
- 写真・金融・サブスクを整理する順序
家財の整理とあわせて端末や重要書類を仕分けたい場合は、生前整理・家財整理について相談することもできます。

記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
デジタル終活とは?
スマートフォン、パソコン、オンラインサービス、写真、SNS、サブスクなどについて、生前に所在と希望を整理することです。目的は、家族へ自由なログインを許すことではなく、公式手続きを選べる手掛かりを残すことにあります。
金融資産、契約、写真、私的なデータでは、必要な対応が異なります。財産や法的効力が関わる内容は、エンディングノートだけで決めず、必要に応じて専門家へ確認してください。
デジタル終活を始める5つの手順
1.端末とサービスを棚卸しする
スマートフォン、パソコン、外部メモリー、クラウド、メール、SNS、金融機関、決済、通信、サブスクを一覧にします。すべてを一度に書き出せない場合は、毎月・毎年料金が発生するサービスと、失いたくない写真から始めます。
2.「残す・閉じる・要確認」に分ける
- 残す:家族写真、作品、仕事の引継ぎ資料など
- 閉じる:使っていないサービス、不要なアカウント
- 要確認:金融、事業、第三者の情報を含むもの
今すぐ閉じるものは、生前に本人が公式手順で解約します。死亡後の希望は、サービスが実際に対応できる内容か確認します。
3.サービス台帳を作る
| 項目 | 記録例 |
|---|---|
| サービス名 | 正式名称と公式サイト |
| 用途 | 写真保存、仕事、動画視聴など |
| 支払い | 月払い・年払い、カード・口座などの種類 |
| データの希望 | 残す、閉鎖、家族へ確認 |
| 公式設定 | 継承・無効化・追悼設定の有無 |
| 最終更新 | 確認した年月 |
カード番号、暗証番号、復旧コード、すべてのパスワードは台帳へ直接書きません。台帳は「何が存在するか」を知らせるものとして設計します。
4.公式の継承・無効化設定を確認する
Appleでは「故人アカウント管理連絡先」、Googleでは「アカウント無効化管理ツール」など、生前に設定できる仕組みがあります。仕様や対象データは変わることがあるため、必ず公式案内を確認します。
設定した連絡先には、仕組みの存在と必要な情報の保管場所を伝えます。通常のパスワードをメールやチャットで送る方法は避けます。
5.更新日を決める
デジタル終活は一度で完成しません。次のタイミングで台帳と公式設定を見直します。
- スマートフォンやパソコンを買い替えたとき
- 引っ越し、転職、結婚など生活が変わったとき
- 金融機関やカードを変更したとき
- 大切な写真や作品が増えたとき
- 利用していないサブスクを見つけたとき
パスワードはどう残す?
サービス台帳と認証情報を同じ場所へ置かないことが基本です。利用するパスワード管理方法は、端末、家族構成、サービスの公式継承機能に合わせます。
- 家族間のチャットや平文メールで送らない
- 暗証番号や復旧コードを台帳へ並べない
- 同じパスワードを複数サービスで使い回さない
- 「推測できるヒント」を公開された場所へ残さない
- 公式の継承設定があるサービスは、その仕組みを優先する
故人の端末が既にロックされている場合は、推測入力をせず、故人のスマホがロック解除できないときの公式手続きを確認してください。
写真・動画を残す方法
家族に残したい写真は、本人しか開けない端末一台だけに置かず、利用中のサービスが提供する共有やバックアップを確認します。ただし、共有先、容量、保存期間、解約時の扱いはサービスごとに異なります。
「家族写真は残す」「仕事のデータは勤務先へ確認」「私的な日記は閉鎖希望」など、データの種類ごとに希望を残すと、家族が全部を見る必要を減らせます。
金融・サブスクは別枠で整理する
ネット銀行、証券、暗号資産、決済サービスなどは、存在と正式なサービス名を記録し、残高や承継について自己判断で断定しません。個別の相続や税務は、金融機関や専門家へ確認します。
サブスクは支払方法の停止と契約解約を分けて考えます。死亡後の確認手順は、故人のサブスクを安全に解約する方法をご覧ください。
エンディングノートと遺言の違い
エンディングノートは、サービスの所在や希望を家族へ伝えるのに役立ちますが、一般に遺言書と同じ法的効力を持つものではありません。財産の承継や法律上の意思表示が必要な内容は、法務省などの公式情報を確認し、専門家へ相談します。
電子データだから一律に無効、紙なら必ず有効といった説明ではなく、作成時点の制度と必要な方式を確認してください。
家財整理と一緒に確認する物
- スマートフォン、パソコン、タブレット
- 外付けドライブ、USBメモリー、SDカード
- 通信・金融・サブスクの契約書や請求書
- 端末の箱、保証書、充電器
- サービス台帳やエンディングノート
デジタル終活についてよくある質問
パスワード一覧を家族へ渡せば十分ですか?
十分とは限りません。紛失・盗み見のリスクがあるため、サービス台帳と認証情報を分け、各社の公式継承設定も確認します。
サービス台帳には何を書きますか?
サービス名、用途、支払方法の種類、残したいデータ、死亡後の希望、確認日を記録します。カード番号、暗証番号、復旧コード、パスワードそのものは台帳へ直接書きません。
金融に関係するサービスはどう記録しますか?
金融機関名や正式なサービス名、存在を確認できる書類を分けて記録します。残高、承継、相続、税務などの個別判断は台帳だけで決めず、金融機関や専門家へ確認してください。
使っていないサブスクはいつ解約しますか?
本人が手続きできるうちに、公式手順で解約するのが基本です。支払停止だけで契約終了とみなさず、死亡後の確認手順は故人のサブスクを安全に解約する方法へ分けます。
プロアシスト東日本では、デジタル機器や重要書類を一般の家財と一緒に処分せず、ご本人・ご家族へ確認して仕分けます。物の整理と情報の整理を同時に始めたい方は、お問い合わせフォームからご相談ください。
まとめ
デジタル終活は、パスワードを書き並べる作業ではありません。端末とサービスを棚卸しし、残す・閉じる・要確認に分け、サービス台帳と公式の継承設定を整える作業です。
サービス名、データの希望、支払方法の種類、更新日を記録し、認証情報は別に安全管理します。生活や端末が変わるたびに少しずつ更新することが、家族へ古い情報を残さない最も現実的な方法です。







